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土と岩の話 鹿沼土

鹿沼土の分布と生いたち

鹿沼土は今から約3.5万年前(第四紀 更新世)に群馬県の赤城山の噴火によって運ばれてきた浮石質火山砂礫が粒状に風化堆積したもので、関東ローム層に挟まれて層状に堆積山を起点として、それ以東、茨城県の海岸地方まで扇状に広く分布し、東方へいくに従って層厚が薄くなり、粒径も小さくなっていきます。

構造と特性

鹿沼土黄色の土ですが、乾燥させると淡黄白色に変わります。この色は角閃石、紫蘇輝石、磁鉄鉱が含まれているためです。
また、鹿沼土は直径が3~10mmの粒状を呈しています。これは鹿沼土が浮石質火山砂礫が風化して生成されたためで、粒を作っている成分は、シルト質粘土に風化し細かくなり、多数集まって粒となっています。このような状態を団粒構造といい、粒を団粒といいます。
したがって、団粒には多くの細かい孔があいているため、水や空気を通しやすく、さらに団粒と団粒の間にも大きな間隙ができ、それらを保持することにもなり、保水能力にも優れています。
また、団粒内の水は毛管張力によって侵入したものですが、保水はシルト質粘土の吸着力によっても行われます。これにはシルト質粘土に含まれているアロフェン(火山灰土の主要粘土鉱物)の含有量が大きく寄与しているといわれています。
図ー2は、鹿沼土のアロフェン含有量と含水比との関係を示したものです。図ー2によれば、鹿沼土とアロフェン含有量は50%程度以上を示しており、粒径による違いは若干見られるもののアロフェン含有量を増やせば含水比は高くなり、相方は比例関係となっています。

参考文献
土のはなし(III):土質工学会
土と基礎1984.9:土質工学会
粘土鉱物:岩波全書