Columnコラム

2023.03.01

春に思う

「春は出会いと別れの季節」と言われますが、この4月にも多くの学生たちが社会に飛び立っていくことと思います。
そんな中、厚生労働省の調べでは、平成31年3月新規大卒就職者の就職後3年以内の離職率は31.5%で、ここ数年は同様の数値で推移しているとのことです。
離職理由で多いのは、「仕事上のストレス、給与に不満、労働時間が長い、人間関係」などとなっています。
せっかく入社しても3人に1人は3年以内に退職してしまい、後継者が育ちにくい状況は多くの企業や組織にとって共通の悩みです。

「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、誉めてやらねば人は動かじ」
これは、日本の海軍軍人で太平洋戦争時に第26・27代連合艦隊司令長官を務めた「山本五十六(1884~1943)」の言葉です。
人材育成の金言として有名なので、御存じの方も多いことでしょう。
この言葉は、山本五十六が尊敬していた出羽国米沢藩9代藩主「上杉鷹山(1751~1822)」の「してみせて、言って聞かせて、させてみる」が元になっていると言われています。
上杉鷹山は、領地返上寸前の財政難だった米沢藩の藩政改革を行い立て直したことで知られる江戸時代中期の大名です。
その手腕と功績から200年以上経った今でも「行政改革」の手本として例に挙げられることも多く、第35代アメリカ合衆国大統領「ジョン・F・ケネディ(1917~1963)」が最も尊敬する日本人として名前を挙げたことでも知られます。
「なせば成る、なさねば成らぬ、何事も、成さぬは人のなさぬなりけり」
こちらも上杉鷹山の名言として有名です。

さて、前出の山本五十六の言葉は、こう続きます。
「話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず」
「やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず」
人の動かし方から始まり、育て方、実らせ方に至るまで短い言葉の中に「人材育成のヒント」がたくさん詰まっている、まさに名言ですね。
この育成段階は、アメリカの心理学者「アブラハム・ハロルド・マズロー(1908~1970)」の欲求階層説でいう「社会的欲求」「承認欲求」「自己実現の欲求」にもあてはまると思われます。
組織を構成する個人の人材育成を図ることにより、最終的には組織の活性化や発展につながるのだと思います。

出会いは一期一会。
会う人すべて我が師。
4月からまた新しい年度が始まります。
「人材育成」について改めて思った春の一日でした。

齋藤(純)